３代目ボンゴは極めて長期間にわたり生産されたため、何度もマイナーチェンジを繰り返してきました。そのため、全ての形式を網羅するのは難しそうです。そこで、ここでは私の比較的良く知っている最近のモデルを中心にして、概要をご紹介することにします。順次内容をＵＰしていきたいと思いますので、よろしくお願い致します。

形式名の記事をアップデートしました(2001.7.21)
yamajinさんの情報をもとにアップデートしました（2001.6.1)

２ＷＤと４ＷＤ

ボンゴワゴンは、２ＷＤと４ＷＤモデルを取り揃えていました。２ＷＤはオーソドックスな後輪駆動。４ＷＤはオートフリーハブを装備したパートタイム４ＷＤ。両者を比較すると、同じグレードのモデルでも若干細かいデザインに違いがあります。

• ２ＷＤは、サイドプロテクタモールが付いている（ＧＬスーパー以上）
• タイヤサイズが４ＷＤの方が大きい。
• 車高が４ＷＤの方が高い。
• 塗装色に相違がある
• ホイールが異なる。４ＷＤはＧＳＸ以上はアルミ、２ＷＤはスチール。

ボディ形状

モデルの途中で１度、かなり大きなデザイン変更があったようです。変更後の方がフロントグリルが突き出したデザインになっています。変更前の車は今はもうあまり見かけませんが、かなりコンパクトな印象を受けます。
ルーフ形状は、ミドルルーフが中心です。カタログでは、サンルーフ付きと無しの２つに大きく分けられていました。また、後部ルーフの処理に変化があったようです。平成４年ころのモデルでは、サンルーフ付きのモデルはサンルーフのレールをそのまま空中に延長してルーフレールとし、サンルーフ無しのモデルはその代りにルーフスポイラーを装備しています。ところが、以前はサンルーフ無しでもルーフレール式となっていたものもあるようです。また、平成５年のマイナーチェンジでサンルーフ付き車でもルーフレールがなくなりスポイラーが付くようになりました。
また、その他ベーシックグレードには標準ルーフ（GL-SUPER、DX）、ハイルーフ(BW)もありました。

エンジン

当初はＦ８型と呼ばれる1800ccガソリンエンジンが搭載されていたようですが、その後排気量アップされます。 昭和６３年頃のラインアップは、
２ＷＤガソリン：ＦＥ型
２ＷＤディーゼル：ＲＦ型（NA)
４ＷＤガソリン：ＦＥ型
４ＷＤディーゼル：Ｒ２型(NA)
とのことです。2200ccのＲ２型を搭載した４ＷＤモデルは、２年間ほど生産されたそうです。その後ディーゼルエンジンはＲＦ型のターボモデルに統一されました。
ガソリンエンジンFE型は、直列４気筒ＯＨＣです。排気量の割には最高出力は82PSとディーゼル並です。同じエンジンがカペラなどでは100PS以上出していたようですから、低速トルクに振ってセッティングしているのかも知れません。ターボディーゼルのRF型は、直列４気筒渦流室式です。最高出力はターボ搭載で58PSから76PSに増強されました。最終的には平成７年？のマイナーチェンジでインタークーラーまで搭載するに至ります。それによって91PSまでパワーアップされました。
２ＷＤ、４ＷＤともにどちらのエンジンも選べましたが、ディーゼルがインタークーラーを積むと同時にガソリンエンジンの４ＷＤは廃止されました。

全体的に、ボンゴのガソリン車は存在感が薄いようです。パワーと重量の点から見ると、ガソリン車の方が若干有利ですが、さほど大きな違いは感じさせないようです。

変速機

ボンゴは特に４ＷＤでＡＴの投入が遅かったようです。最終的には、４ＷＤのディーゼル車が電子制御４速EC-AT、２ＷＤはディーゼルとガソリンともに一般的４速ＡＴが装備されました。全ての機種で５速マニュアルが選択できました。最近のＲＶではＡＴしか存在しない車種も増えているようですが。なお、４ＷＤのガソリン車はＭＴしかありませんでした。

グレード

２ＷＤは、LIMITED > GSX > GL-SUPER > DX >BWというラインナップ。４ＷＤは LIMITED > GSX > RV-Sとなっていました。また、後述のWAUXがのちに標準ラインナップに加わりました。

• LIMITED：ボンゴの最上級グレードで、塗装がツートンカラーなのですぐにわかります。内装も、他が塩ビレザーなのにこれだけは起毛モケットでした。８人乗り。４ＷＤはディーゼル車のみ。
• GSX：メイングレードです。８人乗り。回転対座シート装備。
• RV-S：比較的影の薄い４ＷＤのベーシックグレード。デザインスチールホイールとタイガースカラーのシートが特徴。
• GL-SUPER：９人乗り、回転対座シート装備。
• DX：９人乗りベーシックモデル。シートはビニールレザー。
• BW：サードシートの無い６人乗りモデル。商売向け？

ボンゴワゴン２ＷＤ ＢＷディーゼル 高いルーフが特徴の、働くボンゴワゴンです。

ＲＶとしての一番の売れ筋は、２ＷＤ・４ＷＤともにＧＳＸのディーゼルターボ車でした。

特別仕様車

ボンゴにも地味ながら特別仕様車があったようです。さほどＰＲもされていなかったように思いますがいかがでしょうか？私の知る限りでは

• ＷＡＵＸ（ワゥー。読み方がわからず困った人は多いのでは？）：フロントガードバーなどを加えてデリカスターワゴン風にアレンジした４ＷＤモデル。その後カタログモデルに格上げされた。
• ＣＩＴＹ　ＲＵＮＮＮＥＲとＦＩＥＬＤ　ＲＵＮＮＥＲ：平成６年ころ売られていたものは、どちらも着脱式２段ベッドを装備したキャンピングバージョンで、２ＷＤがシティランナー、４ＷＤがフィールドランナーと呼ばれていた。ビデオデッキ付きＴＶやセカンドシートバックテーブルも備えた優れものであった。エンジンはディーゼルターボのみ。ただし、明らかに２ＷＤと思われるFIELD RUNNNERを見かけたこともあるので、その時々で仕様は違ったようである。
• ＲＶ−�U：同じく平成６年ころ、比較的安価な２ＷＤのＧＬスーパー（９人乗り）をベースとしてＲＶに仕立てたモデル。ディーゼルターボとガソリンを選べました。

などがありました。

形式名　(UPDATE 2001.7.21)

私（ＤＧＳ）が買った平成６年当時のボンゴワゴンは、

• Ｅ−ＳＳＥ８Ｗ　：２ＷＤのガソリン車
• Ｙ−ＳＳＦ８Ｗ　：２ＷＤのディーゼル車
• Ｅ−ＳＳＥ８Ｒ　：４ＷＤのガソリン車
• Ｙ−ＳＳＦ８Ｒ　：４ＷＤのディーゼル車

となっていました。その前は、ディーゼル車の１文字目はＹではなくＱだったようです。

マツダの資料で調べたところ、これらにはちゃんと意味があり、

ということなんだそうです。
荷台の長さ８「尺」というのには驚きました（笑）。 なお、この荷台の長さは、ブローニィ標準ボデーでは「９」、ロングボデーでは「Ａ」となっています。それぞれ９尺、１０尺という意味でいいのかな？

兄弟車

マツダのバブル期の多チャンネル展開によって、ボンゴにも兄弟車が生まれました。ボンゴはマツダ店・アンフィニ店で販売されていましたが、オートラマ店（のちにフォード店）では「フォードスペクトロン」、ユーノス店では「ユーノスカーゴ」として、若干仕様を変更して販売されていました。

スペクトロンは、ＸＬ−Ｔの単一グレードで、位置付けとしてはボンゴのＧＳＸとＬＩＭＩＴＥＤの中間といったところです。シートや内装がＧＳＸより若干高級感のあるものとなっています。また、２ＷＤはホイールキャップが標準装備でした（ボンゴではＬＩＭＩＴＥＤのみ）。リヤドアの装飾や、ヘッドライト周りのデザイン、ステアリングのデザインも異なりました。また、ミドルルーフのことをスペクトロンでは「スタイリッシュルーフ」と称していました。形式名は「Ｅ−ＳＳＥ８ＷＦ」のように最後にＦが付きます（フォードのＦか？）。なお、ボンゴWAUXに相当するオフロードテイストモデルとしてMONTANUEX（モンタニュー）というのがありました。なんだかネーミングがデリカの「シャモニー」に似てますね。さらに、特別仕様車として「スポーツ」というモデルがしばしば販売されていました。

スペクトロン２ＷＤガソリン XL-T STYLISHROOF/SUNROOF リヤドアのプレート周りのデザインがボンゴと異なります。下にフォードのマーク。サンルーフのレールと一体化した特徴的なルーフレールはボンゴと同じです。

ユーノスカーゴは、滅多に見かけませんが、黒っぽい塗装が高級感があり印象的です。

H5年式ユーノス・カーゴ 2000ccディーゼル4WD （AT、寒冷地仕様） ボンゴＷＡＵＸとほぼ同じ仕様のようですね。 （写真ご提供：大野さん）

最後に、ボンゴの兄貴分であるブローニィに触れておきましょう。ボンゴの全長を５ナンバー枠一杯まで延ばしたフルサイズのワンボックスです。ただ、エンジンはボンゴと同じものを積んでいたので、パワー的には苦しいものがあります。ワゴンは極めて大きく前に突き出したフロントバンパーが特徴的。駆動はワゴンは２ＷＤのみでした。フルサイズだけに中は広々〜、なのですが、ハイエースなどのような高級感がなく、セールス的には日の目を見なかったようです。バンは結構目にしますが、ワゴンはかなりレアと言えましょう。

なお、フォードブランドのバンとして、ボンゴバンがJ-80、ボンゴブローニィバンがJ-100としてそれぞれ供給されていました。